野生生物に関する調査研究

 

 福島県では、東京電力(株)福島第一原子力発電所事故により飛散した放射性核種が環境中から移行することにより、野生動物の体内からも放射性核種が検出されており、野生動物への影響のみならず資源利用の観点からも問題となっています。そのため、環境中から野生動物への放射性核種の移行メカニズムや野生動物中の放射性核種の動態を明らかにし、野生鳥獣対策に資するための調査を行っています。

 

調査研究の概要

 

野生動物の体内に含まれる放射性セシウム濃度の調査





 有害鳥獣捕獲や狩猟により捕獲された野生鳥獣の筋肉に含まれる放射性セシウム濃度を調べています。 
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 結果、放射性セシウムの土壌沈着量が多い地域ほど、筋肉中の放射性セシウム濃度が高い傾向にあること、 
また濃度には季節変動が見られること等が明らかになっています。
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福島県内における野生鳥獣の放射性セシウムモニタリング結果をマップ化した「福島県 野生鳥獣放射性セシウムモニタリングマップ」を公開しています。


 

 

 

野生動物の食性調査





 野生動物体内中の放射性セシウム濃度と食性との関係について調べています。 
 また、胃の内容物のDNA調査も行っています。 
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 結果、胃の内容物の放射性セシウム濃度と筋肉中の放射性セシウム濃度は比例関係にあること等が明らかになっています。
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食物中の放射性セシウム濃度の調査





 野生動物の食物として考えられる植物の放射性セシウム濃度を調べています。 
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 結果、液果(ミズキ等)よりも堅果(コナラ等)の方が比較的に放射性セシウム濃度が高いことが明らかになっています。

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野生動物の行動調査





 野生動物の行動パターンや利用場所についてGPS首輪を用いて調べています。 
  また、避難指示区域やその周辺区域における狩猟鳥獣の生息状況を調べています。
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 結果、イノシシの行動圏は避難指示解除区域内の方が、避難指示区域外と比べて、農地や市街地に
行動範囲を広げていることが
明らかになっています。
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